2025年6月17日、公正取引委員会は「小学館」と「光文社」に対して、フリーランスとの取引における法違反があったとして再発防止を求める勧告を出しました。
これは、2023年に成立した「フリーランス新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」に基づくものです。
そもそもフリーランス新法とはどんな法律なのか?
そして発注者・受注者はどんな点に気をつけるべきか?
本記事でわかりやすく解説します。
フリーランス新法とは?
2023年に成立し、2024年から施行された**フリーランス新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)**は、企業などがフリーランス(個人事業主)に業務を発注する際のルールを定めた法律です。
目的は、立場の弱いフリーランスの権利保護と取引の公正化。
これまで「契約書がない」「報酬の支払いが遅い」「一方的なキャンセル」などが問題視されてきたため、これに歯止めをかける狙いがあります。
法律のポイント(発注側が守るべき義務)
発注者(企業など)がフリーランスに仕事を委託する場合、以下のような義務が課されます:
1. 書面での取引条件明示が義務化
業務内容、報酬額、納期、支払日などを書面または電磁的記録(メール・PDFなど)で通知する必要があります。
2. 報酬は60日以内に支払い
報酬の支払いは、納品から60日以内がルール(遅延は違法)。
3. 不当な契約解除の禁止
成果物の瑕疵がないにもかかわらず、一方的にキャンセルすることは禁止。
4. ハラスメント・優越的地位の乱用禁止
「報酬を下げろ」「追加作業を無料でやれ」などの行為も優越的地位の濫用として禁止対象に。
今回の勧告:何が問題だった?
ニュースによると、小学館と光文社では以下のような行為が指摘されました:
-
発注時に条件を明示しなかった
-
報酬の支払いが期日を超過していた
-
書面による通知が不十分だった
これらはいずれも、フリーランス新法で定められた義務に違反しているとされ、公取委は正式に法違反を認定し、再発防止を勧告しました。
フリーランス・企業どちらにとっても「今すぐ確認」が必要
この法律は、出版業界やメディアだけでなく、Web制作・ライティング・デザイン・写真・動画制作・コンサルティングなど、あらゆる業種に関係します。
フリーランス側ができること:
-
契約書や発注書を必ずもらうよう依頼する
-
支払条件が書面で明記されているか確認する
-
不当な扱いを受けた場合、公正取引委員会や労働局に相談する
発注企業側が見直すべき点:
-
発注フローに「書面での明示」プロセスを組み込む
-
報酬支払いの社内ルールを60日以内に統一
-
口頭契約や曖昧な依頼を避ける
まとめ|「知らなかった」では済まされない時代に
以上、フリーランス新法とは?小学館・光文社の勧告から考える「これからの発注ルール」…というお話でした。
今回の小学館・光文社への勧告は、今後ますます取引の透明性が重視されることを象徴する出来事です。
「下請法」は法人同士の取引に限られていましたが、「フリーランス新法」は個人に対する保護が明文化された画期的な制度です。
フリーランスも企業も、安心して仕事をするために――
正しい知識と契約文化を、今こそ見直すべき時です。
【関連記事】非正規も安心?失業保険の新常識